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踏まれるほどに根を強く【第6回】/建設労働者がなぜ「平和活動」を

2025年7月21日

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「町づくりの建築職人は、町壊しの戦争に反対します」。私たちの先輩たちが長きにわたり訴えてきたフレーズです。なぜ、建設労働者の組合が平和活動に熱心なのか。
「建設労働者の腕や知識は絶対に戦争に利用させてはいけない。建設産業というものは、平和であってこそ『社会的有用産業』として発展することができる。平和でなければ建設産業は駄目なんだ」
これは、第二次世界大戦の前から建設労働組合の結成準備にかかわり、激戦のニューギニア戦線から死線を乗り越えて1946年に復員した日本の建設労働運動の先駆者のひとり、石工の伊藤清さんの言葉です。
 京建労は、憲法改悪阻止、米軍基地反対、核兵器廃絶など「平和と民主主義を守る運動」を、運動方針の要求課題の一つとして活動しています。
戦争中、建設技能者は「工兵」として、戦地で土木設営などの作業を担当しました。戦地では作戦上必要な施設を建設。また本土に残っていた技能者も、「建物疎開」といわれる延焼防止のために事前に建物を引き倒す作業で、自らつくった住宅の破壊を強いられたこともありました。
京建労の前身、全京都自由労働組合大工支部の機関紙「土建労働新聞」第5号(1951年2月)に、朝鮮戦争の戦況について触れた記事があり、その中に「もう兵隊にはなりとうない」という技能者の悲痛な叫びが掲載されています。
古い写真を見返していると「軍事費よりも社会保障を」のメッセージを掲げる姿が、現在に至るまで多く見受けられます。
署名活動や集会参加をあげれば枚挙に暇がなく、一例をあげると原水爆禁止世界大会には1955年の第1回から参加しています。
私たちが加盟する全国組織である「全国建設労働組合総連合」(連合・全労連・全労協のいずれのナショナルセンターにも属さない中立の産業別労働組合)でも1960年の結成当時から、「すすんで日本の民主主義とよりよき社会の建設に貢献しようとする」(綱領前文より)と宣言し、「日本の平和と民主主義の擁護」を綱領の一番目の目標に掲げているのです。

【建築ニュース1271号(2025年8月1日付)】

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