2021年9月3日
なぜ今の時代は「ゆとり」や「余裕」が感じられないのでしょうか。人間としての欲求とは何かなど理由は色々と思い当たるが、最後に行きつくところは、精神的な余裕のなさであると思う▼便利で豊かになった時代であるにもかかわらず、余裕を感じられないのは何故でしょうか。「成果主義、出来栄え主義の拡大」など、いくらでも忙しくなり、暇がなくなる一方です▼現在よりもむしろ「昭和」の貧しかった時代の方が、何をするにも余裕があったように感じます。5Gや4K、ロボット掃除機、自動運転化など、人間の欲望は煽られるばかりで、新製品などを欲しがってしまう消費行動。挙句の果てに際限なく働かされているのではないでしょうか。産業界は一途に我々の消費行動を煽り続けます▼江戸時代の生産力に換算すれば、1日たった45秒の労働時間で足りるそうです。成長神話から逃れて「足るを知る」こと、「程々で満足する」ことを覚えない限り、経済の奴隷から抜け出すことはできそうにありません▼欲望のままに躍らされることをやめれば、自ずと余裕は生まれてきます。これはすでに何十年も指摘されてきたこと。そう書いている私自身も、余裕がないという現実です。(清)
【建築ニュース1189号(2021年9月15日付)】