いらかの波 No.1271
2025年7月21日
5万7000人を超えたというガザ地区の死者数。2023年10月7日、パレスチナ自治区のガザ地区を実効支配する「ハマス」がイスラエルへ大規模な奇襲攻撃。イスラエル軍はハマス拠点であるガザを大規模に空爆▼そうして始まったガザへの報復攻撃は「民間人」を多く殺りく。食料配給拠点、難民キャンプ、安全地帯とされたアルマワシ地区へも容赦のない空爆。これは常軌を逸したジェノサイド（集団殺害）以外の何でもない▼心身が震えたニュースから2年近くが経つ。米国CNNがガザの惨状を取材し、「親たちは、自分や子どもたちが死亡した場合、身元確認のために子どもの足に名前を書いている」と報じ、他方でも「遺体確認のため子どもの足に名前を書く親たち」との見出しをうった▼想像しよう。願いを込めてつけた子どもの名前を、バラバラになったその体を探すことを目的に、我が子の身体中にマジックで書いて眠る夜を▼【誰の子どもですか手足に名前の書かれた子ども】と、ガザの惨状を歌で訴える川口真由美さんの「苦いコーヒーと甘いデーツ」に魂が呼応する。ギターを担ぎ出向いて歌を届ける。必要な時、必要な人の元へ。不屈のシンガーの姿に、「平和」の願いが深まる。（巧）
【建築ニュース1271号（2025年8月1日付）】
