2019年5月8日
「若いときから選挙に行っといたらよかったなぁ」。そう唐突に聞いたのは、昨年6月に他界した叔父の病室。亡くなる数日前のことだった。「知らんと仕事がんばってただけやった」と後悔の言葉は続いた。「命とくらしを守る一票を」の訴えに対する、「お前らの言うとおりやったわ」との叔父の返答だろう▼選挙があるたびに「投票権を行使しよう」と本紙紙面でもよびかけているが、統一地方選挙の結果でも「投票しない人」があまりにも多いことに恐怖感を覚えた▼投票で意思表示する民主主義の根幹を、諦める訳にはいかない。意中の候補者が当選しなくとも、投票には意義がある。「死票」なるデマ単語に騙されてはいけない。無駄な投票は1票たりともない▼政治不信は深まるばかり。暴言・失言が溢れかえり呆れ返る。桜田五輪相の辞任に対して「与党候補というだけで、当選してしまうのが小選挙区の弊害」という市民の声があった。資質ある人材数を超える議席を与党に与えてきた結果が、この始末だ▼この小選挙区制の中では、野党共闘で潮目を変えるしかない。前出の叔父が残した老いた妻の、僅かばかりの蓄えを切り崩すくらしにも、消費税増税が迫る。日本国、民主主義に待ったなし。(巧)
【建築ニュース1143号(2019年5月15日付)】