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踏まれるほどに根を強く【第9回】/「アスベストは危険」先駆的告発

2025年9月16日

 1984年5月の京建労第32回定期大会で、山科支部代議員がアスベストの危険性を告発。「建築ニュース」は同年10月より「いま石綿建材を問い直す」という連載を開始しました(1985年3月まで)。
これは、京建労職業訓練校の留学訓練生であったアメリカ人のマイケル君が「家屋解体の実習」で、「こんな現場にはいられない」と逃げて帰ったことの理由が「アスベスト建材をマスクもせず平気で壊しているから」であったことに端を発したものでした。
1985年4月、「京建労アスベスト対策委員会」を設置。1986年、第34回定期大会でアスベストの全廃決議。その模様をNHKが取材・テレビ報道。その後も現場調査や、現場実態の取材も全国放映となり、反響を巻きおこしました。
名古屋大医学部衛生学科・久永直見講師(後の愛知教育大学保健環境センター教授)の全面援助を得て実施した建設現場でのアスベストばく露の実態調査の結果は、労働安全衛生法の規制をはるかに超える驚くべき数値を記録。日本で初のデータとして各方面に大きな影響を与えました。
1987年、京都民医連と共同で、アスベスト検診を実施。2153人が受診し、アスベスト疾病の疑いがある仲間が48人。4人の肺がん患者もみつかりました。
 京建労の運動は、90万枚のビラ配布など一般市民への大量宣伝と、マスコミへの発表など、全国に先駆けたものであったといえます。
アスベストの使用規制は、1970 年代から欧米諸国では強められていたのに対し、日本は業界の利益を優先し全面禁止は2006年(建材での使用禁止は2004年)と大きく遅れました。
2008年、首都圏の仲間が、国と建材企業を相手に提訴。被害の全面解決をはかる「建設アスベスト訴訟」がスタートしました。
2010年、京建労の仲間と家族・遺族が「たんぽぽの会」(京都建設じん肺・アスベスト被害者と家族の会)結成を経て、11人の原告団を『代表選手』として、2011 年6月、京都地裁に提訴しました。

原告のまさしく命がけの訴えを全力で支えた運動と、京都弁護団の先駆的な立証作業や理論構築は、2016年1月に京都地裁判決で、国とともに、全国で初めて企業の責任を認めさせました。
2018年8月の大阪高裁判決では、一人親方についての国の責任も認める、原告全員救済の画期的勝利判決を勝ちとりました。
京建労は、「『勝利判決』を書かせる30万署名・命あるうちの解決を」と訴え地裁判決にむけて壮大な運動を展開し大奮闘しました。
2021年1月28日、最高裁判所は、関西建設アスベスト訴訟京都1陣訴訟において、国の申し立てた上告について、受理しない決定をしました。
※アスベスト闘争の歴史は第10回へつづく

【建築ニュース1274号(2025年10月1日付)】

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