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【連載】地下足袋と軍靴をこえて 建設労組がなぜ平和運動を?その源流をつなぐ④

2022年11月4日

死線をこえて残した言葉「平和」

 建設産業は平和でなければダメだという言葉を残した、石工の伊藤さんは、徴用で激戦のニューギニア戦線から死線をこえて復員され、建設労働組合創設者の一人として活躍されました。
「全日本土建一般労働組合」は分裂をしますが、一致点での共闘で再結成をめざして、1960年11月に「全国建設労働組合総連合」(全建総連)が結成されました。
全建総連結成当時から掲げている綱領があります。そこであげている5つの「目標」のうちの一番目に示されているのが、「1、全建設労働者・職人の生活と権利を守り、日本の平和と民主主義の擁護、完全独立を達成するために総力を結集する」という言葉です。
結成当時から「すすんで日本の民主主義とよりよき社会の建設に貢献しようとする」(綱領前文より)と宣言し、「日本の平和と民主主義の擁護」を綱領の一番目の目標に掲げているのが、全建総連なのです。
我々の先輩がそれまで家族に安らぎをもたらす「住宅建設」のために培った技術・技能を、戦地での兵舎の建設や、部隊の車両が侵攻する際の仮設橋の敷設工事など、戦争のために使わざるを得なかった痛恨の経験に基づいています。
モノを破壊する争いと、モノを作り上げる建設産業は、全く相いれないものなんだ、平和でなければ建設に従事する仲間の仕事やくらしは成り立たないと、その思いを共通認識として、組合結成の基礎としてきた表れであるといえます。
2003年から2006年にかけて自公政権が自衛隊法と防衛庁設置法を強行改悪し、2015年には安倍政権によって安全保障関連法案が強行可決されてきました。
戦後70年、日本の防衛安全保障政策は、「集団的自衛権の限定的な行使」が法制化され、大きな転換点を迎えました。「自衛隊法」の第103条(防衛出動時における物資の収用等)では、「その2」で、「(前略)当該自衛隊の行動に係る地域以外の地域においても、(中略)自衛隊の任務遂行上特に必要があると認めるときは、(中略)当該地域内にある医療、土木建築工事又は輸送を業とする者に対して、当該地域内においてこれらの者が現に従事している医療、土木建築工事又は輸送の業務と同種の業務で防衛大臣または政令で定める者が指定したものに従事することを命ずることができる」とされています。
私たちは戦中の戦争協力体制同様に、動員産業に組み込まれています。「戦争をしない」と誓う憲法9条を守り、戦争させない外交努力を強化することが私たち建設業者にとって、何よりも必要なことなのです。おわり

【建築ニュース1214号(2022年11月15日付)】

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