2025年12月3日
11月21日、京都地裁で関西建設アスベスト京都3陣訴訟の第20回期日が行われ、京都府内各支部などから75人の仲間が傍聴支援に駆けつけました。今回の期日で同訴訟は結審し、今後は被告企業との和解に向けた協議が行われます。被告企業が和解に応じない場合は判決によって賠償の有無やその範囲が裁判所より示されることになります。なおこの日は裁判開始前に、河原町丸太町の交差点で建設アスベスト被害の実態を訴える宣伝行動も行われました。
裁判ではあらためて被害の予見可能性や、アスベスト含有建材の現場到達に関連する「シェア論」、そして屋外作業従事者(解体工など)の予見可能性などについて、原告側弁護団から弁論がありました。
弁論の冒頭には原告を代表して、端明原告団長(醍醐)が意見陳述を行い、「中学を卒業して50年以上、塗装業として働いてきた。68歳で肺がんになるまでは、年間100ヵ所以上の現場で働いてきた。再発はしていないが、肺の切除を行って苦しい思いもしている。いつがんが再発するかと怯える日々を送っている。私達の被害の上に立ち、利益を上げてきた建材企業を許すことはできない。裁判所においては全ての仲間が救済される判断をしてほしい」と力強く訴えました。
続いて秋田智行弁護士から、解体工との関係での警告表示義務違反について弁論を行いました。神奈川2陣訴訟の最高裁が解体工に関して、企業の警告表示義務は責任の範囲外とした判決について、「その裁判での事実関係を前提とした判断」であり、その判断が過度に採用されるべきではないと強く主張しました。
加えて秋田弁護士は「解体工に際して警告表示義務がないならば、いったいどのようにアスベスト被害を防げばいいのか。解体工はアスベスト被害を受けて当然であり、社会においてのやむにやまれぬ犠牲者とでもいうのか。そのようなことが許されていいはずがない」と語気を強めて発言。傍聴席で見守る仲間たちも大きくうなづいていました。
最後は村山弁護団長が「地裁段階での和解」と「被害者全員救済」の重要性を裁判長に説き、同裁判は結審となりました。
なお裁判長からは被告企業との和解進行をすすめる旨のスケジュールも発表され、この日の裁判を閉廷しました。
裁判終了後は場所を京都弁護士会館にうつして、報告集会が開催され、福山弁護団事務局長や村山弁護団長から今日以降、どのような動きで和解や判決を迎えていくのか詳しい解説が行われました。
最後は堀内執行委員のよびかけで団結ガンバロウが行われ閉会しました。
【建築ニュース1279号(2025年12月15日付)】