第47回住宅デー 6月9日(日)
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アスベスト闘争

2陣京都地裁判決/メーカー18度目の断罪/全員救済求め闘争続く

2023年4月6日

 3月23日、関西建設アスベスト京都2陣訴訟の判決が京都地裁で出されました。被告だった国は2021年の1陣訴訟の最高裁勝利判決を受け、2陣原告30人すべてと和解し賠償に応じました。訴訟は被告を建材メーカー16社に絞って継続されました。判決では被害者30人中24人に対し、建材メーカーの加害責任を認める決定が出され、メーカーに対しては全国では18度目となる勝訴判決を勝ちとりました。

関西建設アスベスト京都2陣訴訟 京都地裁判決要旨(抜粋)

関西建設アスベスト京都2陣訴訟の京都地裁判決(第1民事部・松山昇平裁判長)では、被害者30人中24人(原告数43人中36人)のアスベスト被害に対する被告建材メーカー(以下メーカー)の責任を認め、被害者に賠償を命じる原告勝訴判決が出されました。以下に判決要旨の抜粋を記載します。
【主文】
1、被告A&AM、同太平洋セメント、同ニチアス、同ノザワ、同MMKの5社は該当する原告に金員を支払え。
2、原告7人(被害者6人)の請求を棄却する。
【石綿含有建材製造販売時の警告表示義務違反について】

1、石綿関連疾患は人の生命・身体において重大な危険を及ぼすものであるから、石綿含有建材を購入、または使用するものに対して危険性に関する情報を正しく伝達し、適切な予防策を認識させることで危険を生じなくさせることが期待されていた。
2、石綿含有建材を製造販売するにあたり、解体作業従事者に対して実効性などの高い警告方法があったとはいえない。建物の解体作業は当該建物の解体を実施する事業者などにおいて、当該建物の解体の時点での状況を踏まえ、あらかじめ職業上の知見などに基づき安全性を確保するための調査をしたうえで必要な対策をとって行われるべきである。被告らは建物の解体に関与しうる立場にない。被告らが石綿含有建材が使用される建物の解体作業従事者に対し、警告すべき義務を負っていたということはできない。
【石綿含有建材の現場到達事実の立証方法について】

おおむね10%以上のシェアがあった建材は建設現場に到達した蓋然性が高いとする原告の主張は相応の合理性を有する。

 


判決終了後は会場を京都教育文化センターにうつして、記者会見と報告集会が行われました。記者会見で語られた原告団共同代表の中村祐之さんと、弁護団長の村山晃さんのコメントの一部は下記を参照してください。
報告集会で平山委員長は「まず判決でメーカーに勝利したことを素直に喜びたい。しかし我々現場で働く人間として、被害者の線引きは絶対に許されないことだと思う。仲間の皆さんには被害根絶、全員救済へ引き続き協力をお願いしたい」と語り、さらなる支援を訴えました。

若い従事者守るためにも

【原告団共同代表・中村さんのあいさつ】
今回の判決では24人の仲間がメーカーの責任が認められたのは良かったと思います。ただ私たちが望むのは全員救済だったので、6人に対して認められなった点は本当に残念でなりません。
その6人のうち3人は私を含めた解体工の建設従事者でした。私たちは建設現場で一緒になって汗水流して働いてきた同じ仲間なんです。私たちからしたら、職種によってアスベストの被害の救済に差が出るというのは信じられない判決内容です。
社会にはアスベストを含んだ建物がたくさんあり、解体作業はこれからの課題なんです。これでは被害者は広がる一方です。今現場で活躍する若い従事者を守るためにもたたかっていきたいです。

断罪5社は解決に応じよ

【弁護団長・村山弁護士のあいさつ】
今回の判決は基本的には今まで私たちが積み重ねてきた、メーカーに対して危険性を知らせる警告表示義務違反を断罪する判決であります。断罪された5社についてはすみやかに被害者救済と被害根絶の立場に立ち解決に応じるべきです。
ただ今回の判決では不当にも6人に対してメーカーの責任が認められなかった点は厳しい判決だといえます。裁判を続ける中で国とは全員和解が成立しているのですが、メーカーにも被害者に対して賠償する責任を負わせること、被害者に線引きをさせないことが今後、重要だと考えます。

【建築ニュース1222号(2023年4月15日付)】

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