アスベスト闘争

建設アスベスト訴訟 最高裁判決内容の解説

2021年6月3日

2021年5月17日の4訴訟最高裁判決について京都訴訟弁護団の谷文彰弁護士から、所属事務所京都第一法律事務所のホームページに趣旨が掲載されていましたので、許可を得て転載します。なお一部文章は編集部で要約などの編集をしています。全文は同事務所ホームページをご覧ください。

【京都訴訟弁護団・谷文彰弁護士】
私たちが裁判の当初から目標に掲げていた、①一人親方に対する国の賠償責任を認めさせる、②建材メーカーの賠償責任を認めさせる、という2点について私たちの主張を基本的な部分で認め、国と建材メーカーの責任を広く、多様に認める歴史的な最高裁判決となりました。

・国の責任について

国の責任について最高裁判所は、1975年10月1日(ただし明確には判断していませんが、吹付工についてはそれよりも早い1972年10月1日と考えられる)から、2004年9月30日までの間に建設現場で就労した作業者との関係で、賠償責任を認めました。
違法が認められた点は「アスベスト曝露作業に従事する方に、防じんマスクを着用させる義務を罰則をもって課さなかったこと」「アスベストの危険性などについてアスベスト建材や建設現場への警告表示を義務付けなかったこと」です。
救済対象は労働者だけではなく、個人事業主なども含む、基本的には建設現場で働いて石綿粉じんに曝露した方のすべてとなります。
救済の対象となる方の職種については、「屋外従事者」を除くすべてといえます。例えば解体工なども救済対象となります。ただし「屋外従事者」といってもさまざまな方がいます。屋外で作業をすることが多かったが屋内で作業をすることもあったという方もおられます。そのような方は、今後工夫していくことで救済範囲に入る可能性が十分にあると私たちは考えています。

・建材メーカーの責任について

期間については判決では明示されていませんが、国の責任と基本的に同一の期間と考えられます。違法が認められた点は、アスベストの危険性などについてアスベスト建材への警告表示を行わなかったことです。
最高裁の判断によって賠償責任が確定した建材メーカーは10社で、いずれもかつてアスベスト建材市場で大きなシェアを占めていた企業です。この10社の建材メーカーについて、最高裁判所は「共同不法行為」による責任を認めました。最高裁はシェアなど諸般の事情を考慮して使用した可能性の高いアスベスト建材を絞り込む方法によって建材メーカーの責任を認めることができると判断しました。被害救済という観点から大きな意義を持つ判断です。
建材メーカーの責任が認められる可能性のある職種は、屋内作業者は基本的に問題がありませんが、屋外従事者と解体工は難しいと言わざるを得ません。屋外従事者については建材メーカーの予見可能性が否定され、解体工については警告表示による結果回避可能性が否定されてしまったからです。

・すべての被害者の救済に向けて

一連の最高裁の判断を受けて、国もようやく救済制度の構築へと動き出しました。制度が実現すれば早期に救済を受けることができるため、大きな意義があります。そしてできあがる救済制度に建材メーカーがどのように関与することになるのか、まだ予断を許しません。救済制度に国が支出するというのは私たちの血税から支出されるということに他なりません。危険な製品を売り続けて儲けを上げてきた建材メーカーにこそ責任を取らせなければ、真の救済制度とはいえないのです。
真の救済制度を実現し、最後の一人が救済されるまで、歩みを止めてはなりません。今回の判決を機に私もより一層頑張りたいと思います。

【建築ニュース1184号(2021年6月15日付)】

 

全文は下記を参照してください

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