2023年8月3日
7月21日、京都地裁で関西建設アスベスト京都3陣訴訟の追加提訴が行われ、京建労や京都総評などから91人の支援者が駆けつけ、追加提訴した5人の仲間にエールを送りました。
今回追加提訴したのは細見さん(右京・左官)、伊藤さん(右京・タイル工)、今江さん(右京・大工)、中原さん(遺族・故人は右京・はつり工)、小松さん(組合員外)の5人です(伊藤さんは提訴後の7月24日にお亡くなりになりました)。
昼12時30分から京都地裁前で支援者たちによるスタンディングアピールが開始され、照りつける日差しの中で「アスベスト建材メーカーは謝罪と基金参加に応じろ」と書かれたプラカードを掲げて市民にアピールしました。
支援者を代表して平山委員長は「先日出された大阪訴訟の判決では、裁判長が被告企業に対し『原告がどれほど苦しい思いをして亡くなっていったか、被告はおもんばかり賠償に応じる必要がある』と言いました。血の通った判決に心が震えました。神奈川の訴訟でもメーカーが左官工に謝罪に応じるという結果を得ています。私たちの仲間のいのちを多く奪い、傷つけているアスベスト。製造、流通させた責任を問うこの3陣訴訟を、私たちも支えに支えて建設業の未来を切り開いていきましょう」と仲間によびかけ、建設アスベスト訴訟に関するさらなる支援を訴えました。
入廷行動は午後1時から始まり、弁護団長の村山弁護士と1陣原告の三須磨さん、今回の追加提訴した今江さんと中原さんを先頭に「建材企業は責任を認め、全てのアスベスト被害者を救済せよ」と書かれた横断幕を持ち行進。弁護団などが続いて京都地裁に入りました。
支援者は丸太町通を挟んで北側に陣取り、村瀬書記長のコールにあわせて「命あるうちに早期解決を」「建材企業はすみやかに謝罪せよ」とプラカードを掲げてアピールしました。
なお追加提訴した原告の一部と弁護団は行動後に記者会見を開き、提訴の趣意などを説明しました。
追加提訴を行った同日の午後2時開廷で、関西建設アスベスト京都3陣訴訟の第6回期日が行われました。この日は傍聴を希望する支援者や市民などが多く駆け付けたため、傍聴は抽選となりました。
今回、弁論に立ったのは上谷さん(右京・タイル工)と中谷さん(綴喜八幡・ガス設備)の2人です。
上谷さんはタイル工として長年建設現場に従事し、下地モルタルを準備・使用する際にアスベストに曝露し、肺がんをり患しました。尋問で上谷さんは原告側弁護士から肺がんの症状について聞かれたときには、裁判長の方をしっかりと向きながら、「とにかく息切れがひどい。体力の低下がすすんでいる。仕事も息が切れるので他の人に迷惑がかかってはいけないので諦めました。仕事に信念を持っていたので、仕事を奪われたことは本当に辛い」と話しました。
続いて行われた中谷さんに対する尋問では、肺がんと診断されたときの心情について問われた際には言葉をつまらせながら「知り合いが肺がん発症から2年で亡くなったので、私もそのようになるのかと思い、本当に落ち込みました」と答え、傍聴席には涙をぬぐう仲間もいました。
期日終了後は弁護士会館に場所を移し、報告集会が行われました。原告のあいさつに立った上谷さんは、「今回追加提訴した仲間の中には私の兄弟弟子もいます。傍聴席が埋まるほど皆さんが駆けつけてくれて、感謝の一言に尽きる。新たに提訴した仲間も同じように支えてくれると嬉しい」と支援者に訴えました。
なお次回期日は9月22日に行われます。
【建築ニュース1230号(2023年8月15日・9月1日付)】