京建労には、いろんな職種の人がいますが、案外他の職種のこと、特に道具のことについては知らないことが多いのではないでしょうか。
私は大工ですが、大工の道具といえばやはり「さしがね」でしょう。古くは平安時代にはすでにあったとされ、大工にはなくてはならない道具です。
みなさんご存知のようにさしがねは直角に線(スミ)を引く道具です。しかし、それだけではありません。裏側には「裏目または角目」というものが刻んであり、表目の三角形の対角線の長さが瞬時にわかります。三平方の定理です。
そのほか「丸目」という、円の直径を測るとその円周の長さがすぐにわかる目盛も刻まれています。屋根などの勾配や、斜めに交わる部材同士の仕口など、さしがねを駆使すると、ぴたりとけがくことができます。昔から日本の大工はすごい数学を使っていたのですね。
見習いのときにさしがねを足で踏んでしまい、親方に「さしがねを踏むとは何事か!」ときつく叱られました。