2024年11月7日
ノーベル委員会は10月11日、今年のノーベル平和賞を日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)に授与すると発表。核兵器の非人道性を明らかにし、核兵器禁止条約へのうねりをつくり出してきた活動が認められたものです。核兵器廃絶を望む国際社会と、京建労が長年積み上げてきた平和運動について、平和分野担当の松原書記次長に解説してもらいました。
【本部・松原書記次長】
京建労は「平和でこその建設産業」の立場で、戦争へと向かう動きを阻止するさまざまなとりくみをしてきました。
また毎年、広島や長崎で行われる「原水爆禁止世界大会」に代表を派遣し、戦争や核兵器による被害の実態を学び、世界大会に向けて行われる各地域の「平和行進」などにも積極的に参加し、核兵器廃絶を訴えてきました。
主婦の会(女性の会)は毎月、原子爆弾が投下された6日と9日を中心に「6・9行動」を行い、市中で宣伝や署名活動を行っています。このような草の根の活動が国連での核兵器禁止条約の採択(2017年7月)に結び付き、2020年10月25日には批准国が50ヵ国になり、2021年1月22日に条約が発効されました。これで核兵器は国際的に「非人道兵器」として、その開発や保有、使用威嚇を含むあらゆる活動が禁止されることになりました。
しかし今、ロシアによるウクライナ侵攻をはじめ、イスラエルのガザ侵攻など混沌極まる中東情勢で核兵器使用の可能性がとりざたされています。石破首相も「核共有」を主張し、核兵器禁止条約批准に背を向けるなど、核兵器が存在することによって、「使用される危機」が非常に高まっています。
このような核兵器をなくそうという世界的な流れに対し逆流させる動きがある中、日本被団協がノーベル平和賞を受賞することは、世界中に強烈なメッセージを発することになりました。あらためて心より敬意を表します。
被爆者の皆さんが自らの体験をもとに「ノーモア・ヒバクシャ、ノーモア・ウォー」と国際舞台で訴え、核兵器の廃絶を求めつづけたことと、私たちも継続的な運動を展開し「核廃絶」の道を切り開いてきた到達を確信に、引き続き京建労としても核兵器をなくす運動をすすめて行く必要を強く感じています。
【原水爆禁止2024世界大会京建労代表団・木下さん(宇治)】 日本被団協が設立されて68年。1日も休むことなく平和に向けた草の根活動を行ってきた「ネバーギブアップ」の精神が実った素晴らしい結果に感動しました。この受賞で1945年に原子爆弾が投下されたことは、昔のことで終わらせてはいけないと強く再認識させられました。同時に私たちは被爆者からのメッセージを受け継ぎ、次世代へ繋いでいく大切な役割もあると強く感じました。
核廃絶の活動は国や人種の垣根を越えて、世界中の人々が平和で豊かにくらしていけるために必要な活動だと思います。被爆の実相を途切れることなく語り継ぎ、より大きな平和への輪になるよう私自身も頑張りたいと思います。
【建築ニュース1256号(2024年11月15日付)】