第47回住宅デー 6月9日(日)
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技術伝える名うて技能者たち/後進の育成へ知識惜しみなく/職業訓練校

2024年1月3日

 京建労では技能労働者にとって必要不可欠な、技術修練や資格取得を支援する教習センターや職業訓練校、技能競技大会、国家資格取得準備講座など「技術」に関するさまざまなとりくみを行っています。そうしたとりくみの多くは組合内の熟練技能者の協力によって支えられており、2023年10月に訓練校の特別授業として行われた「鉋(かんな)講習」でも、名うての組合員技能者が若年技能者の指導にあたりました。講師を担った2人に技能者育成についてお話をうかがいました。


「技能は楽しい」を伝える

 講師の一人として参加してくれた有馬さん(50・左京)は、左京区にある㈲匠弘堂で取締役・宮大工二代目棟梁として全国の現場で活躍する仲間です。
今回の講習について有馬さんは「鉋は大工の花形ともいえる道具です。加えて鋸(のこ)や槌(つち)鑿(のみ)などの手道具がわかってくると、この仕事のおもしろさに触れることができるので、生徒たちにとって講習は貴重な時間だったと思います」と振り返ります。
続けて「生徒たちの鉋を見ると『日ごろから使っていないな』というのがわかりました。鉋を引くときの抵抗や音、手の感覚を通じて何を感じるのかも知ってほしかった」と道具の手入れの重要性も強調しました。
 最後に「私たち先輩技能者も『技能は楽しい』を伝えていかないと後世に技術を残していけません。今回の講習で若年技能者たちに研ぎや台に関する知識を通じて『探求する楽しさ』を伝えられたかなと思います」と語ってくれました。

「研ぎ一生」学びの機会大切に

 もう一人は㈱アラキ工務店で取締役と大工棟梁をつとめる足達さん(60・西京)です。足達さんは講習で自身が使う鉋を生徒たちに使用させ、「切れる道具」での作業を経験することによって道具を仕上げる重要性を体感させました。
それについて足達さんは「生徒たちが謙虚に学ぶ姿勢をもって私たちの話を聞いてくれました。それは『上手くなりたい』ということの現れだと思います。こちらも『上手くなってほしい』という思いから道具の体験をしてもらいました」と話します。
 さらに訓練校で学ぶ若者たちにむけて、エールを送ります。「大工の世界では『研ぎ一生』という言葉があります。研ぎはしっかり先輩から教わり、一生をかけて自分で追究するものです。こういった学びの機会から大事なものを得て名工へと育ってほしい」と笑顔で話してくれました。

講習後 生徒たちに変化/名工への憧れを再確認

 訓練校では「鉋講習」から1ヵ月後に生徒たちに、講習の感想を文章にまとめてもらいました。生徒たちが名工たちに触れ、講習後どう変化したのか感想の一部を紹介します。

【2年生・大西さん】  私自身、日ごろから鉋や鑿を使うことがあまりなく、自信がありませんでした。講義のあと鉋を調整したり、刃を研いだりと手道具の楽しさを毎日実感しています。またお二人のお話をうかがいたいです。
【1年生・野木さん】  講習で実際に足達先生の鉋で削らせていただいた時の気持ちよさで違いを実感しました。まだまだ自分での調整は未熟ですが、鉋など道具の手入れを忘れずに、「鉋仕事」を任せてもらえるような大工になりたいと思います。

【建築ニュース1238号(2024年1月1日・15日付合併号)】

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