2019年1月1日
2018年、多くの災害が私たちの住む街をのみ込み、傷痕を残していきました。9月4日に京都府に上陸した台風21号の住宅被害は全壊4棟、半壊43棟、一部損壊は実に7261棟にも及びます。大阪府北部地震と西日本豪雨をあわせた被害住宅数はのべ1万122棟にものぼります。かつてこれほど広範囲に多数の住宅被害が重なったことはありませんでした。
未だ屋根には青いシートが目立つ街並みで、修繕作業に東奔西走する建設の仲間たち。復旧作業中に発生した痛ましい2次災害事故など、私たちをとりまく環境も大きく変化しています。
「住まいは人権」、私たちはこの言葉を掲げて街を守り、くらしを支えてきました。被害者として、支援者として、施工者として私たちは今後、災害にどう向き合っていくのか。相次ぐ災害にも、組合とともに危機を乗り越えてきた仲間の声を聞きました。
【綴喜八幡・佐藤さん】
私の所属する綴喜八幡支部では、台風21号で被災した屋根の修繕工事で仲間が落下し、亡くなってしまうという痛ましい事故がありました。
台風被害は同時多発的に市民のくらしを襲いました。仲間は施主さんたちの「助けて」という悲痛な声に思いをはせて作業をすすめておられたんだと思います。かくいう私もそうで、多くの業者がその声に応えたいという一心で走っていたと思います。
人手不足や資材不足がおこり、ひとりで作業していた仲間も多くいると思います。こういうときだからこそ、業者同士の「助け合い」が必要なんだなと痛感しました。そういった面では京建労には非常にお世話になりました。業者さんの紹介や、行政とかかわる手続きなど施工者をつなぐハブの役割を担ってくれました。
仕事の付き合いだけではなく、組合でもいろいろな人たちとつながっておくというのは大きな力が発揮できるというのがわかりました。
今回のように立て続けに災害がおきた場合、住民のみなさんとともに私たち業者も大きなプレッシャーを感じていました。
私たちがかかわった住宅は、住民の生命と健康を守れているか。業者はみなこの仕事に使命感を持っています。だからこそつながりを持ち、事前準備をしっかりとし、安心を提供していく必要があると思います。
綴喜八幡支部では台風の前に大阪府北部地震でも被害が発生していました。そこで大きな力を発揮したのが、組合員訪問を中心とする「情報収集力」です。
京建労は近所隣組と同じで地域中心で組織をつくっていますので、仲間は無事か、どの地域に大きな被害があったのか、非常に細やかな情報が支部に集約されていました。この情報を基に役員・書記局が迅速な災害対応を仲間に対して行うことができました。
今回の災害ではさまざまな立場で学ぶことが多かったと思います。「災害対応」では行政を巻き込んだ議論が必要だと感じています。
【建築ニュース1136号(2019年1月1日・15日付)】