2025年1月3日
サーフィン、音楽活動、好きな単車とお気に入りの車「ダッジ・ラム1500」で人生を謳歌する69歳。年齢を聞けば誰もが驚く山科支部の仲間、松井さん(精密板金)に仕事と趣味を通して、アクティブに生きる秘訣を聞きました。2024年に京建労に加入した長男・汰津朗さんにもお話をうかがいました。
バンドボーカル姿や、ハーレーに乗る松井さん。所謂「コワモテ」かと思いきや、その物腰の柔らかさと、温和な笑顔に人柄の良さがにじみ出る仲間です。
山科区北花山にある、松井さんが営む「MAX製作所」に訪問すると事業所の看板がサーフボードで作られていることにハッとさせられることでしょう。
分会の仲間たちが「松井さんは仕事が忙しすぎて会いたかったら工場に行った方が早いで」というくらいに板金の仕事は引っ張りだこ。現場での階段工事も、精密板金でも引く手あまたのようすです。
2024年8月に京建労に加入した息子の汰津朗さん(32)は、「子どもの頃から父の仕事はずっと見てました。精密板金の会社で5~6年働いて、実家である事業所に戻り2年位になります」と話します。
父の清貴さんは「仕事は細かいところ、見えないところ、『見る人が見ればわかるところ』を大事にせなアカン」と話し、そこだけは必ず継承してほしいと願っています。
事業所名の「MAX製作所」の、マックスとは、「手を抜かない」「全力で」「最大限の」という意味を込めて付けたと、終始穏やかに話す父・清貴さんの眼に力がこもります。
「どんだけAIだなんだといっても、どうしても人間の手でしかできない仕事というものはあります」と話す清貴さん。
汰津朗さんも「10年20年やっても、できない人はできない作業がある奥深い仕事に魅力があります」と、この仕事をできる人がいなくなれば困る人がいると、腕を磨いています。
「自分の代で終わりかと思っていた」と話す清貴さん。修行を終えた、頼もしい跡継ぎと共に、作業場で技術継承の日々です。
この1月に69歳。趣味でも活発に楽しんでいる松井さんに、「人生を楽しむコツは」と聞くと、「おかげで、長く仕事をさせてもらって来ましたけど、趣味もいつでも楽しめてきたかというとね、仕事が暇な時はどれだけ好きなことでも楽しめなかった」とふり返ります。遊ぶ時間がないような、忙しい時ほど趣味は最高に楽しいのだと。
サーフィンは20歳になる前から50年のキャリアで、今も続けている松井さん。「波に乗った忘れられない感覚、きれいな景色の中でその感覚になれるのが最高なんです」と。また、海の仲間たちは、待ち合わせをする訳でもないのに、海に行けばお互いが居るという、その人間関係も魅力の一つと話し、「浜辺で乾杯でもすればもう何にも要らない」と教えてくれました。
音楽活動を始めたのは、「若い頃に友達のバンドを見に行っていたら、お前も一曲歌えと予定にないのに急にステージにあげられてね。レット・イット・ビーを歌ったらワァーって歓声がきて、電流が走るような感動をしてそれから」と話す松井さん。
現在では年齢も性別も多様な仲間たちと「スリッパーズ」というバンドでフロントマンとして、ウクレレを弾きながら歌うスタイルでの活動を続け、2人組のアコースティックグループ「HIRO&マイケル」としても活動しています。「これまた楽しくてねぇ」と松井さん。「できれば仕事は早く引退したい。海を見てくらしたいんです」という松井さんですが、その技術への依頼はまだまだ途絶えそうにありません。
得意先の信頼にこたえる仕事を続け、忙しくしながらも、その間隙を縫うように趣味を謳歌する松井さん。「建築国保には本当に助けられています。やはり何といっても健康がなければ仕事も趣味も一生懸命できない。お金の心配をしないでお医者さんに相談できるのは、病気の予防としても優れた制度ですね」と話してくれました。
【建築ニュース1259号(2025年1月1日・15日付)】