2024年1月3日
組合の中には病気やケガ、災害などさまざまな困難を経験した仲間がいます。京建労は長年、人と人をつなげる「かすがい」として、仲間どうしの助けあいで困難に見舞われた仲間を支える役割を担ってきました。
2023年に大きな困難を経験しながらも仲間の励ましや協力を受け、再び活躍の現場へと帰ってきた仲間を取材しました。
川上さん(76・設計)は右京支部で支部長をつとめる仲間です。建設アスベスト訴訟や平和運動を熱心にとりくむ川上さんに突然、病魔が襲います。落ち込む川上さんの心を支えたのは、地域やさまざまな活動の場で長年ともにたたかってきた右京支部の仲間の存在でした。
【川上さん】
2023年の3月に別の検査目的で腹部エコーを受けたときにたまたま膀胱がんが発見され、すぐに手術と抗がん剤による治療方針が決定しました。
突然のことで心の整理もつかず、支部大会も目前に迫っていたこともあって、次年度役員の辞退を申し出ました。とても不安な気持ちの中にあって支部の書記局が「絶対大丈夫ですから、待ってますから」と励ましてくれ、少し気持ちが楽になり、治療に専念しようと決意しました。
2回の外科手術を受け、その後は抗がん剤治療へと移りました。療養中も分会や支部の仲間が自宅のポストにレジュメや資料を入れてくれていて「みんなも頑張っている」「仲間とつながっているんだ」と治療への勇気をもらいました。
幸いにも膀胱がんは早期発見だったので経過は良好です。組合の活動にも7月から少しずつ復帰し、仲間の輪に戻ることができました。何よりも建設アスベスト3陣訴訟の原告として頑張っている上谷栄一さんの尋問に間に合って本当に嬉しかったです。
仲間たちの励ましに「ありがとう」の感謝を込めて活動に参加しています。
【3陣原告で右京支部所属の上谷さん】
川上さんが病気で休養されると聞いて、本当に心配しました。川上さんは穏やかでみんなから好かれる人格者。どんなとりくみにも中心で頑張ってくれる人なので、心から復帰を願いました。期日には傍聴席で私の尋問を聞いてくれていて、とても心強かったです。これからもたくさんの時間を川上さんと過ごしたいですね。
川からの轟音と自宅を襲う流木の群れ。2023年8月14日夜から15日にかけて近畿地方を襲った台風7号。京都府北部にも記録的短時間大雨情報が発令され、舞鶴市久田美地域では豪雨によって久田美川が氾濫。舞鶴支部に所属し、本部副執行委員長の野田さん(63・大工)の自宅も、床上浸水や土砂流入、流木が衝突するなど甚大な被害が出ました。
【野田さん】
8月15日の未明には久田美川があふれ、自宅は川の横にあるのであっという間に床上浸水となり、軽トラックも私の目の前で川に流されてしまいました。
朝には水も引いたのですが、あふれたのは山の水ですので至る所、土砂や流木だらけでどこから手をつけていいのか茫然自失状態でした。お盆のさなかでしたので人の手を借りるにも難しい状況でした。
そんな中で舞鶴支部の書記局から被害状況の確認の連絡が入り、すぐさま支援隊を組織してくれたんです。支部とともに所属する城北分会の仲間も駆けつけ、屋内の清掃や畳出しに加えて、外の土砂出しなどまさに百人力の活躍をしてくれました。それ以降も多くの仲間が作業に参加してくれ、集落内の人手が少ない家の片付けもやってくれるなど、京建労が集落全体を救ってくれた存在となりました。
由良川の氾濫などでは私も支援をする立場だったのですが、支援を受ける立場となって仲間の存在がこれほどまでに勇気と生きる気力をくれるものだとは思っていませんでした。
被災直後は泥だらけの大工道具や工具を見て、「もう続けられない」と思いました。ただ駆けつけてくれた仲間が私の道具についた泥を一生懸命ぬぐってくれている姿をみて「もう一度」と踏み出す力をもらえました。
皆さんの支援を受け、9月末には現場に復帰して大工、工務店として働けています。
【支援に駆け付けた城北分会の谷口さん】
舞鶴支部の書記局から野田さんが被害にあったと聞き、すぐに野田さん宅に駆け付けました。現場に着くと本部や支部など多くの仲間がすでに作業をしていて、書記局なども慣れない作業ながら泥だらけになって頑張る姿に「京建労はすごい」と心打たれました。何よりも野田さんに笑顔が戻ったことが嬉しかったですね。
【建築ニュース1238号(2024年1月1日・15日付)】