2023年1月3日
京建労では毎年、全建総連関西地方協議会が主催する在阪大手企業交渉に交渉団を組織して、現場の声を大手ゼネコンやハウスメーカー担当者に届ける活動をしています。近年では企業が元請の現場に従事する事業主が直接交渉の場に参加し、実情の訴えと改善要求を行っています。
石川さんは2019年に開催された企業交渉に参加し、説明なく減額された工事単価の現状を訴え、改善を勝ちとった仲間です。現場従事者として本人が声をあげることの重要性をうかがいました。
美装業として、毎日さまざまな現場を駆け巡る石川さん(56)。大手ハウスメーカーなどの現場で個人事業主として作業に従事しています。
入職は2002年、35歳の時でした。「元々不動産業などで働いていて、ひょんなことから美装業に。最初は10者にも満たない得意先だったんですけど、今は毎日忙しくさせてもらって感謝してます」と笑顔をみせます。
2018年、いつものように上請から石川さんに大手ハウスメーカー(元請)の現場に関する注文書工事単価表が届きます。そこには「法定福利費相当」という項目が追加されていたのですが、他項目で単価が削られており、総額では減額されていたのです。減額の理由を上請に問い合わせますが返事はありません。石川さんはそのことを組合に相談。支部や本部の会議で実情を報告し、大手企業交渉の場で直接訴えをする決意をします。
石川さんは「よく『元請に言うなんて勇気ありますね』と言われます。私たち技能者はみんな仕事に自信をもっていると思うんです。たくさん上請から無理を言われ、仕事をこなしている。お互いそうやって信頼関係を構築しているわけですから、私は自信をもって『この減額はなぜですか』と交渉先の本社担当に直接聞きました」と交渉に臨んだ時を振り返ります。
交渉の結果、すぐに微増ですが単価が上がり、現在では再美装工事などの項目も追加されました。当時より作業内容に相応な単価額へと改善されています。
最近では他支部の学習会などでこの経験を話し、「要求すること」の後押しをする活動をしています。
「私は実態を京建労に話し、直接訴えをする機会を得ました。やはり『誰か言うといて』では現状は改善しにくいと思うのです。自分の仕事に胸を張り、自らの声で訴える。私たちは一人じゃない。そこに自信をもち、声をあげることで業界が変化していけばこれ以上嬉しいことはないですね」と仲間とともに業界を変えていく思いを語ってくれました。
【建築ニュース1217号(2023年1月1日・15日付)】