

2025年5月23日
自身のファンと一緒に現在までに85万羽以上の「平和の折り鶴」を折り、広島へ届けているミュージシャンがいる。女性レゲエ・シンガーとして、広く知られている「Metis」(メティス)。「母賛歌」のヒットでジャンルを超えて知る人も多い。楽曲のサビ「母よ母よ感謝してます」は、その名前をご存じない方も耳にしたことがあるかもしれない▼「私ひとりが毎日折ったとしても到達しない数」と彼女がいう、その折り鶴の目標数を聞いて驚いた。350万羽。「死ぬまで折り続けます」と、日本中を飛び回るアーティスト活動の合間にも、折り紙で鶴を折る。Metisは広島生まれの被爆3世。平和を願うメッセージを発信し続けている▼Metis「アオギリの木の下で…」は、広島の平和公園にあるアオギリの木の下で被爆体験を伝え続けた、語り部(かたりべ)沼田鈴子さんの思いを受け継いで作られた歌だ。歌詞のエンディングは「過ちは繰り返しませぬから」▼自らの行動で示し、よびかける「平和」。共感する人々は集い、Metisは「平和折鶴」を折り続ける、一つひとつ祈りを込めて。私も折ろうと練習を始めて気が付く。折るoruと祈るinoruがあまりに似ていて、手を合わせた。(巧)
【建築ニュース1267号(2025年6月1日付)】