2024年7月16日
赤信号に変わった横断歩道を、渡り続ける人の群れが止まらない。そんな印象を受けた東京都知事選挙だった。3選を果たした小池知事への疑惑の赤信号など、利権のポストを維持できさえすればどうでもよいのだろうか▼「カイロ大卒」に関しては当時を知る複数の人が実名で証言。卒業したと考える方が難しい。カイロ時代の同居人は「このまま黙って死んだら悔いが残る」として赤裸々に語った。小池氏の支持者や投票した人はこれが胸をはれる選択だったのだろうか▼公務員の地位利用など刑事告発を受けている件もしかり、神宮外苑再開発をめぐるパーティー券問題も、どれを見ても「当選したからハイオシマイ」とはいえない。腐敗した政治を勝たせ続けるのは有権者の方だが、いつかこれを打ち負かすのも有権者▼かくいう私、必ず選挙に行くという若者ではなかった。投票の大切さが身に沁み、政治への関心が高まったのは組合活動などを通して得た気づきの機会であったり、民主的な議論の積み重ねで醸成されてきたものと振り返る。今回の都知事選挙の結果は、残念なものだった。しかし、私たちは苦難の時も一生懸命組合活動にあたるという、まちがいない前進方法を知っている。(巧)
【建築ニュース1250号(2024年8月1日付)】