2022年8月3日
6月中の梅雨明けで1951年の統計開始以来、記録的な梅雨の短さとなり、なにやら忙しない感じがした初夏。心の準備もなく突然の厳しい暑さに身体が悲鳴をあげている。そんな中京都は、駒形提灯が浮かび響く祇園囃子から夏が始まった▼3年ぶりに祇園祭の山鉾巡行が開催され、街中には賑わいが戻りはじめた。私自身も子どもの頃に抱いたワクワクする興奮が蘇る。数年前から同じ支部の仲間の紹介で、後祭のある山の大工方として参加させていただき、巡行の日は曳き手としてもお手伝いさせてもらっている。伝統ある祭りに携われることに感謝している▼巡行の日はたくさんの観覧者を見渡すことができて、開催期間中には180万人の来場者が訪れるともいわれている。今年は日曜日というのも重なり、凄い人だった。その中には手を合わせて祈りを込める方も見られた▼新型コロナウイルスがまん延し、2度の中止を余儀なくされた山鉾巡行。祇園祭は元来、疫病払いから始まった祭りといわれており、その中でもクライマックスともいえる雅な山鉾巡行は疫病退散を市民が願う象徴的な行事だ。特に今年は、たくさんの人々の祈りやさまざまな想いが詰まった祇園祭だったと私は感じた。(忠)
【建築ニュース1209号(2022年8月15日・9月1日付)】