2021年4月19日
関西建設アスベスト京都1陣訴訟は最高裁で国と建材メーカーの責任が確定し、屋外従事者に関しては3月に弁論が終わりました。現在、責任が確定したメーカーと基金創設へ向けた交渉などが行われています。
【本部・酒井書記長】
4月6日、9人の原告が勝利した㈱エム・エム・ケイとの交渉に、京都から原告団の三須磨さん(宇治)と酒井書記長、佐藤弁護士、加えて大阪と首都圏の訴訟団から合計10人が参加しました。
東京都神田の貸会議室で行われた交渉では、冒頭に同社の鈴木企画管理部長から被告への謝罪が行われました。しかし原告側の「責任ある役員との面談」「同種訴訟の和解による解決」「基金制度の創設」の要求には、「現時点では考えていない」の一点張りでした。
それをうけ三須磨さんは「裁判に頼らずとも救済される制度を作るべき」と企業側に迫り、酒井書記長からも「9人も負けている御社が解決の先頭に立たなくてどうするのか」など、原告や支援者から怒りを込めた訴えが続きました。
約1時間半の交渉で「国から協議のよびかけがあれば加わる」という回答と、「要望は上層部に伝える」ことを確認し、次回交渉につなげることとしました。
【本部・松原書記次長】
4月9日に㈱ノザワとの企業交渉を行いました。同社に勝訴が確定した遺族原告の北村光子さんをはじめ大阪訴訟や各弁護団など15人と、㈱ノザワから代理人含めて4人が参加しました。
交渉を開始して企業側の最初の言葉は、「責任をもってご意見を聞かせていただく」でした。この発言を受けて早速「ご意見をうかがうという場ではない。最高裁で確定したことをどのように受け止めているのか、なぜ役員の出席がないのか」と弁護団が詰め寄る場面もありました。
北村さんも「勝訴判決をもらったけど、主人は帰ってこない。これ以上同じことをいつまで続けるつもりなのか。若い建設従事者が安心して建設に関われるようにしてほしい」と思いをぶつけました。
北村さんを含め大阪訴訟の原告も企業の姿勢に猛抗議し、企業側も改めて原告たちに謝罪を行いました。
今まで2社との交渉を行った中でも遅れた対応をとった㈱ノザワに対して「敗訴した企業として今後、どうしていくのかを検討して回答を4月中にもらいたい」との約束を取り付け、交渉は終了しました。
【原告・三須磨さん】
現場の実態を知らない担当者が対応し、役員は出てくる気配もありませんでした。被害者をバカにしているのかと思う態度、不誠実極まりない対応でした。これからも声をあげていかなければと思いました。
【建築ニュース1181号(2021年5月1日付)】