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無意味で危険? ダム開発/下流を洪水の危険にさらす 国の事業計画

2009年1月 5日(月)
カテゴリ:
下流側からの天ヶ瀬ダム。手前右側に大口径のトンネル計画が

 国の公共事業と国民の意志とが激しく対立した長良川河口堰(三重)の反省から、1997年に改正された「河川法」。これを転機に河川管理は国(=国土交通省)主導から、「流域住民の意見反映型」に、根本的に変化しました。


「防災を考える会」が断層調査を行い、国・自治体に指摘。描線部が活断層。右下に計画のトンネル配置図が見える。

 淀川流域委員会や4府県知事が「不適切」としたダム建設ですが、そんな中、山田京都府知事はなぜ、防災上も問題点が指摘されている、天ヶ瀬ダム再開発を表明するのか? 地元で防災問題にとりくむ方は、同計画を「無謀で無意味な公共事業」と話しています。

ダム付近は断層銀座/防災・市民の会 地質調査で判明

発見された断層部分を示す梅原さん

 天ヶ瀬ダム(宇治市)は、琵琶湖から流れ出す唯一の川・瀬田川(宇治川)の下流に位置し、琵琶湖水位と下流域の治水を調節する機能を持っています。

 同ダムは、放流能力毎秒900トンのアーチ式ダムとして、1964年(昭和39)に完成しました。

 現在問題になっているダム再開発計画は、1972年(昭和47)に策定されたもので放流量を毎秒1500トンに増強する、そのために430億円を投じて、ダムわきに直径26メートルの巨大トンネルを掘削しようというもの。

 防災を考える宇治市民の会の梅原孝さん(左写真)は「私たちの地質調査でダム周辺に活断層が密集していることが判明。こんなところにトンネルを掘 るなんて。再開発の目的が下流域の治水なら、放流量の増強は、不適当どころか、危険極まりない」、「下流を危険にさらしてまで、やらねばならない事業では ない」と指摘します。

 梅原さんは「いまの堤防の状態(主に填島地域)では、毎秒1500トンもの水量に耐えられず、決壊を招く恐れがある。ダム再開発より、堤防の強化こそ、優先すべき対策です」と話します。

発電事業だけ効果大/企業資産の形成に なぜ税金を使う

 建設関係の労働組合などでつくる京都生公連・前副議長で、府職員労働組合の開沼淳一さん(左写真)は「計画案は、下流の治水にも、琵琶湖周辺の浸水対策としても効果が期待できない。唯一、確実に効果があがるのは、関西電力・喜撰山発電所の発電力アップ。

 民間企業の利益追求(資産の形成)のために、国と自治体の税金を投入した公共事業として進めていいのか? そのツケを国民・住民に負担させていいのか?みなさんにぜひ議論してほしい点です」と話します。

地元住民の参加と討論で「自然調和型」の治水策を
1922年当時の宇治地域。西には巨椋池が

 梅原さん・開沼さんは、淀川治水計画に関し次のように語り、住民本位の計画への転換を訴えています。

▼原案では、塔ノ島付近の河床掘削を計画していますが、これではせっかくの桜や景観が破壊され、観光宇治の価値が失われます。(梅原さん)

▼「魚道がない」という、ダムの欠陥をどう修復するのか。現在でもウナギやアユ・ハエなどが激減していることから、環境面での対策が求められます。(同)

▼川を暗渠化して道路にし、その上を14万台の交通量の高架道路として使ってきたソウル中心街で、道路を撤去し、清溪川(チョンゲチョン)の復元さ せたとりくみが、環境保全と、人々の交流復活の先進例として関心を呼び、地域づくりのあるべき方向を示したものとして評価されています。私は、長期的な検 討テーマとして「巨椋池の復活」、「天ヶ瀬ダムの撤去」は、世界のまちづくりの先進的な流れに合致していると思います。(開沼さん)

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