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いずれも(京都地裁101号大法廷)
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たんぽぽの会

「これからも一緒やで」/道具と遺志をつなぐ仲間たち/アスベスト災害

2015年1月 9日(金)
カテゴリ:
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 関西建設アスベスト京都訴訟の原告・髙木勝美さん(大工・享年62歳)は2012年12月6日に、アスベストが原因の肺がんで、志半ばで亡くなりました。現在はその遺志を継ぎ、妻・千代子さんが遺族原告として、裁判をたたかっています。
 故人の道具を継ぎ、遺志をつなぐ職人同士の絆で「いつまでも仲間、一緒にたたかおう」と原告を支えるとりくみを取材しました。
職人の絆がアスベスト訴訟を支える
 左京支部の事務所2階にずらりと並ぶ、鉋やノミ、差金、水平器などの手道具と電動工具。その横には「ほしい道具が見つかったら、アスベスト裁判の支援カンパをお願いします」と書かれた案内。道具にはすべて「タカギ」と書かれています。
 これは髙木さんが生前使用していた道具を、左京支部が引きとり、ほしい道具があった場合に、アスベスト訴訟支援カンパの協力をよびかけるとりくみです。
 千代子さんから道具の整理を相談された左京支部は、道具のほとんどがまだ使える状態だったため、千代子さんから了解を得て、道具を引きあげ、アスベスト訴訟支援カンパのよびかけに活用させてもらうことにしました。
 道具の整理を手伝った小谷さん(48・川端分会)は、髙木さん愛用の鉋を懐かしそうに眺めながら、髙木さんとの思い出を話します。「髙木さんとは、同じ工務店に出入りしていた大工仲間。年は少し離れているけど、現場ではケンカもしたし、お腹を抱えて笑いあったこともあります」と目を細めます。
 続けて「傷んだ道具は少しなおせば、使える状態になりました。たくさん仲間に引きとってもらえたら嬉しいです。道具は職人の傍らで、苦楽をともにしてきた大切な相棒。使い手の生きた様がそのまま出るんです」と、髙木さんの手で擦り減った鉋をじっと見つめます。

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愛用道具は仲間のもとへ 今も現場で活躍中
 髙木さんの道具は、さまざまな仲間のもとで活躍しています。
 田中さん(60・岩倉北分会)はエアフィニッシュを引きとりました。田中さんも髙木さんとは現場仲間で、多くの時間を一緒に過ごしました。
 「この道具を持つと、髙木さんの大きな背中と、朗らかな笑顔を思い出します」と田中さんは微笑みます。
 
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 また「原告として立ち上がった髙木さんの思いと、肺がんで亡くなった無念を忘れないために」と道具を引きとった仲間もいます。
 牧さん(47・大原分会)は、道具箱から髙木さんの自在錐を出し、こう話します。
 「呼吸がしにくい中でも声をふり絞り、仲間に訴えをしている髙木さんの姿に心が震えました。生前髙木さんは、原告となる決意をしたときに『京建労だから大丈夫』といわれたと聞き、あらためて髙木さんと一緒にがんばろうと、道具を引きとらしてもらいました」と裁判勝利への思いを語りました。
 
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 髙木さんと同じ高野分会の竹部さん(52・高野分会)は、住宅デーで活躍する髙木さんをふり返り「住民から寄せられた包丁を、丁寧に研いでいた髙木さん。『毎年、住宅デーには帰っておいでや』と、愛用の砥石を預かりました。私は職種的に、研ぎ物をしたことがないので、現在猛練習中です」と笑います。
 このほかにも「タカギ」と書かれた道具は、たくさんの仲間のもとへ行き、建設現場で活躍しています。

「早く現場に帰りたい」 無念の別れ、決意受け継ぐ
 小谷さんは、闘病中の髙木さんが「早く現場に帰りたい」と復帰への希望を語る姿に、深く心を打たれたと話します。
 無念にも復帰は叶わず逝ってしまった髙木さん。小谷さんは、お別れの際に「天国でも、気張って大工してよ」と髙木さんの傍らにそっと「墨差し」を添えました。
 小谷さんは「建設職人が『現場に帰りたい』と願った気持ちを奪ったアスベスト災害、そして国・企業を許すわけにはいかない」と怒りをこめて話しました。

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 髙木さんが生前使っていた道具の中に、ひとつだけ「髙木」と刃に刻印された鉋が見つかりました。左京支部の仲間たちは、髙木さんが「大工だった」という証として、その鉋を千代子さんにお返しすることにしました。
 千代子さんは、鉋を手に「道具が皆さんのところで活躍していると聞き、お父さんはさびしがり屋だったので喜んでいると思います」と笑顔で話しました。
【建築ニュース1052号(2015年1月1日・15日合併号)】 
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