聚光院本堂は、桁行七間半、梁間五間の一重入母屋造り。屋根は当初、桧皮で葺いてあったらしい。茶席と同様、1974年(昭和49)に重要文化財に指定された建築物。過去に幾度かの小修理を経過したことはあるが、軸組の傾斜、軒の垂れ下がり、基礎の不同沈下や屋根の破損も著しく、今回初の全面的な解体修理をすることになり、私もいさんで現場に出かけた。
堂内中央には、一寸厚の桧板を槍鉋(やりがんな)で仕上げた床板が良好な保存状態で残されていたが、ところどころ表面の塗装(生漆塗り)が剥落していたため、すっかり塗り替える。
大正4年の修理で積まれた屋根の桟瓦も、桧皮片の発見により、桧皮葺きに復元。棟飾りも室町期の建築を特徴づける「獅子口」になおす。修理後のゆるやかな屋根の線とあいまって均整のとれた外観が実現した。
なお、桧皮の屋根の軒先は「一重軒付」とし、深い庇の先端を美しく見せる工夫をしてある。
本堂内部には狩野松栄・永徳親子筆による立派な襖絵(国宝)が、また本堂前庭は「利休手植えの沙羅双樹」もある名勝庭園なのだが、残念ながら拝観は謝絶されている。私(細川)は前の住職と懇意で、最近まで自由に出入りもしていたが、その住職も静岡に寺を創建して転じられ、少し敷居が高くなってしまった。