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広原 盛明

意識を変えれば、仕事は山ほどあります

前府立大学学長・龍谷大学教授  広原 盛明

 防災、福祉、環境の観点で、住宅改修への助成は時代の課題にマッチしています。

 震災時の被害は圧倒的に家屋の大破による圧死と火災です。大掛かりな改修がすぐにできなくても、基本的な防災工事として、家族の寝室などたとえ一室でも、つぶれない空間を確保すること、電気・ガスなど火の元には安全装置を設置することが切実に求められています。住民の命を守る気があるのか、怒りに思うほど行政の対策は遅れています。

 介護保険制度の問題というと、認定のミスマッチや費用負担の面が目下の中心になっていますが、状況が進めば、さらに住宅と地域の問題として顕現化します。要介護度認定は本人の身体能力についてのみを基準としており、家族の状況や住宅条件は加味されません。在宅介護は住まいに介護の条件があってこそサービスが生きてくるものです。トイレや風呂と寝室の経路を改善する住宅改修だけでも、身体能力の維持向上に効果があることを、医療や福祉・建築の専門家はもっとアピールしていく必要があります。施設や病院から住まいに戻ったとき、住みつづけられる条件をつくることが重要です。子世代との同居で家族の介護をあてにする人は少なくなっていますが、自分の家で公的サービスを受けながら生きることを想定した住まいにはなっていないのが実情です。欧米の独居老人のくらしは、ライフスタイルの違いと同時に、住まいが条件を持っているからこそ、きめこまかな福祉のデザインが可能になっているのです。

 資源の無駄遣いをせず地球環境を守っていくうえでも、壊して大量のゴミをださない改修によって古い住宅を長持ちさせることは意味があります。スクラップ&ビルドの時代は終わりました。新築したり大きくすることが望まれるのではなく、住まいをコンパクトに住みやすく変える「減改築」という考え方も必然です。

 この三つの観点の仕事は、住民の住宅改善要求の掘り起こしがあってこその仕事です。専門家としての知識と技術で、住まい手の意識を変えていくことが必要です。各層の専門家と協力して、住民とのふれあいのあるワークショップ的手法で住まいのあり方をみつめていけば、大いに需要が開けるのではないでしょうか。

 二十一世紀の高齢化社会に、住み続けられる住まいと安全な街をつくる第一歩として、運動の成功を願うものです。

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