いらかの波 No.1219
2023年2月18日
原発が60年を超えて長期運転・稼働なんてとんでもない▼東京電力福島第一原発の大事故から3月で12年となる。今もって事故の処理は続いている。しかし事故処理の終わりが見えてこない。これが現状であり、「原発事故は恐ろしい」という教訓は忘れてしまったのかと憤りを感じる▼未だ国民の原発事故への不安はぬぐい切れていない。それでも岸田政権が原発再稼働の加速、老朽化原発の運転期間延長、そして新建設の閣議決定を強行。また原子力規制委員会は60年超えの長期運転を事実上可能にする、原子炉等規則法の改正方針を決定した。原発の再活用をめざす経済産業省と歩調を合わせる形で、丁寧な議論もなくわずか3ヵ月での決定だった。何のための規制委員会なのか。原発事故を反省し、規制と推進を分離するために環境省に発足した独立性の高い組織としての役割が、根底から疑われる判断だ▼安全に「絶対」はない。問題があれば、必ず安全の側に軸足を置くのが事故の教訓だ。その原点をないがしろに、政府の原発推進回帰に追随するばかりなら、規制委員会の存在意義はない▼今一度、私たちの声で「原子力発電所は全て廃炉に」を政府に届けるときが来ていると思う。（清）
【建築ニュース1219（2023年3月1日付）】
