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「現場トイレアンケート」が語る建設業の過酷な実態

2023年1月3日

 京建労では賃金対策部を中心に「現場環境」の改善をめざすとりくみをすすめています。建設現場の労働環境は、一人親方・労働者・事業主も共通の問題です。
 「現場環境」に焦点をあてた運動は、具体的には「都心部の駐車場確保問題」や「熱中症対策」、「施設の整備」といった建設現場の労働環境の実態把握と改善要求に関するとりくみで、2022年10月と11月に「現場トイレアンケート」を実施しました。建設産業におけるトイレの最低限のルールづくりを念頭に置いた第一歩となる実態調査に49人の仲間が協力。アンケート結果では生きる上で不可避な生理現象について、私たち現場従事者が置かれている厳しい実態が浮き彫りになりました。

生きる上で重要な課題/約半数が本体工事従事

 まずは基礎項目として対象の現場は「戸建て住宅」が最も多く44・4%、次いで「マンション・アパート」に関する現場が14・8%と続きます。「社屋」や「商業ビル」「公共施設」などは各11・1%で、半数近くが「戸建て住宅」の現場で町場や新丁場に従事する仲間が多く回答をくれました。
続いてどの工程段階に従事するかを問うた項目では、半数が「本体工事」と回答。次いで「内装仕上げ」が26・7%と、回答者の4分の3以上が工事のかかりから仕上げの段階に従事する仲間でした。
なお本体完成後などに従事する外構や洗いは10%で、造成や基礎工事従事者からの回答はありませんでした。

数や清潔さに不満多数/管理者が不明で放置も

現場で使用するトイレの数について、「やや不満」「とても不満」「要改善」と設置数に不満を持つ回答をした仲間は37%と、「満足」「かなり満足」の合計が17%だったので、倍以上の仲間がトイレの数に不満を感じていることがわかりました。
トイレの清潔さについては、同様に不満を持つ仲間は37%で、「満足」と「かなり満足」の合計22%を大きく上回る結果でした。
広さや使いやすさなどの品質については、不満を持つ仲間は42%にものぼり、コメント欄には「現場の仮設トイレでは紙がすぐなくなり補充されない」や「臭いがすごい」「管理者が不明で汚いまま放置されている」など設置されていても、きれいで使いやすい仮設のトイレは少ない現状が見えてきました。

切実な現状に共感広げ/業界守るために改善を

 設置されているトイレの維持管理責任者に関して、複数回答可で求めた項目では、40%が「元請」と回答。次いで「下請の施工業者」が28%、「職長が輪番」が16%と続きます。トイレの管理者が「不明」との回答も16%ありました。
多くの場合が現場を管理する立場の人が、維持管理している現状でした。
アンケートではトイレに関する仲間の実態を「自由記入」という形で寄せてもらいました。以下に編集部がカテゴリーごとにまとめた仲間の意見を記します。なお元請がわかるような表記は伏せています。また汚物を連想するような表現もありますが、仲間の切実な実態です。ぜひご覧いただき、共感を広げて働く環境改善へとつなげていきたいと思います。
【トイレの設置について】
▼そもそもトイレがない。
▼徒歩10分ほどかけてコンビニまで行くことが日常。
▼上位業者からトイレを買って自前で設置せよと言われる。
▼橋の点検作業ではトイレがないのが普通。
【仮設トイレなどの質】
▼現場にあるのはスカイトイレのようなものしかなく、嫌になる。
▼とにかく臭い。
▼水洗であっても上下水道が切られており、毎回バケツで給水する必要がある。
▼大工工事が終わると撤去される。
▼ハウスメーカーA社はぼっとんの和式で、小すら使いたくないくらい汚い。
【高層階のトイレ】
▼8階建てマンション建設ではトイレは1階しかないのが当たり前。
▼トイレは地上の現場事務所にしかないことが多い。
【その他】
▼元請によってトイレの質がだいぶ違う。

【建築ニュース1217号(2023年1月1日・15日付)】

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