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共感で「技能が好き」を伝える/選ばれる産業になるために

2023年1月3日

 一人親方の大工として現場で活躍する藤川さん(43)。藤川さんは現在、宇治市にある「いたや工房」が元請の住宅建設現場で、請負大工として作業しています。元請から信頼されるその技術と人柄から、後進育成の手助けなどでも頼られる企業の「パートナー」として活躍しています。若手大工育成から見えてきた建設業の今後についてうかがいました。

 城陽市にある住宅の新築現場では、藤川さんを含めた3人の技能者が各々の持ち場で作業をすすめていました。1階では藤川さんとともに、いたや工房の社員で入職8ヵ月目の橋本さん(20)が金具の取り付け作業を行っていました。藤川さんは自身の作業もすすめながらも、時折橋本さんの作業に目をやり、質問にも丁寧にこたえていました。
「後進の育成は若い世代にあった関わり方が必要かなと考えています」と語る藤川さん。「自分が若い時は褒められたことなんかないけど、できたことはしっかり評価して伝えるようにしています。叱る時は叱るし、褒めるときは褒める。彼が『明日も現場に行こう』と思えるような関わり方が大切かな」と温かな視線を橋本さんに送ります。
実は異色の経歴を持つ藤川さん。大学卒業後に京建労の書記局に入局します。建設で働く仲間に魅力を感じ一念発起。大工に転職しました。現場や京建労の職業訓練校で技能を磨き、30歳で独立。兄弟子など仲間の力も借りながら請負の一人親方として多様な現場を経験してきました。
「今、大工職は本当に人手不足です。橋本君のように若くして入職してくれる人は少ない。自分の経験上、中途入職者でも存分に活躍できる、受け入れられる産業にならなくてはと日々感じています」と自身の経験から産業の変化を訴えます。
 続けて若年技能者との関わりでは「入職したての頃は頭ではわかっていても、技術が追い付かなくて悩むことがあります。技能者は『できなかったことができるようになった』にあふれた仕事です。そこに私たちが共感しながら『好き』や『楽しい』につなげられるような関わり方ができると、辞めにくく選ばれる産業に変化するのかなと思います」と技能者の未来像を描きます。
最後に自身が身を置く「一人親方」という働き方について「技能者育成など外注であっても将来の産業を守るために会社と力をあわることが重要だと考えています。インボイス制度対応も含めて一人親方には厳しい時代が来ます。ただ仕事があることを希望ととらえて、自分が先輩たちに救われたように、助けあいの建設業を守れたらなと思います」と笑顔で話してくれました。

【建築ニュース1217号(2023年1月1日・15日付)】

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