Web建築ニュース

いらかの波 No.1112

2017年11月13日

10月27日、東京高裁前には首都圏の土建組合の旗が秋風を受け綺麗にたなびいていた▼首都圏建設アスベスト神奈川1陣訴訟の高裁判決日。私もその一瞬をカメラにおさめようと支援行動に参加した。たどり着いた高裁前は緊張感で張りつめ重苦しい空気さえ感じられた。その緊張感を生んでいたのは5年前の5月、横浜地裁が下した「悪魔の判決」といわれる原告側全面敗訴の判決だ▼高度経済成長期から日本の発展を陰から支えたのは紛れもなく建設労働者だ。国の政策、国民の需要にこたえるべく家をビルをつくり続けた我らの仲間。その誇りも尊厳も踏みにじるがごとく、「いのちより経済の発展が優先」と5年前の横浜地裁は示した。言うまでもなく、その判決が全国の建設労働者の心に再度火をつけたのだ。そこから京都を含む6地裁で国を断罪し、企業も2度断罪した▼敗訴から5年5ヵ月。その時はきた。国と企業に勝利した初めての高裁判決。「責任を断罪」と書かれた勝訴旗を前に、ある人は遺影を強く抱きしめ嗚咽し、ある人は抱き合って涙を流した。原告にとって5年5ヵ月というのはいかに長い時間だったか。林立するビル群からさす日差しが、仲間の涙と笑顔をやさしく包んだ。(熟)

【建築ニュース1112号(2017年11月15日付)】

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