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関西建設アスベスト京都1陣訴訟 大阪高裁判決を受けての声明

2018年8月31日

2018年8月31日
関西建設アスベスト京都訴訟原告団・弁護団
関西建設アスベスト訴訟統一本部
全京都建築労働組合

1.本日、大阪高等裁判所第4民事部(田川直之裁判長)は、関西建設アスベスト京都1陣訴訟(原告数27名、被害者数25名)において、国及び建材企業の責任を認め、国に対して総額1億8885万円余り、建材企業10社に対して総額1億1319万円余りの支払いを命じる1審原告勝訴判決を言い渡した。特に、本判決は、京都地裁で唯一敗訴した1審原告についても請求を認容し、文字通り全員勝訴判決、全面勝訴判決となった。
本訴訟は、建築現場において建材から生じた石綿粉じんにばく露し、肺がん・中皮腫等の重篤な病に罹患した建築作業従事者とその遺族が、石綿建材の製造販売企業と規制を怠って流通を促進した国に賠償を求めた訴訟である。被害者25名のうち、既に16名が死亡(提訴後死亡者11名)という現実が物語るように、その被害は極めて深刻である。

2.本判決は、1審判決同様、吹付作業者については昭和47年10月1日~昭和50年9月3日まで、屋内での石綿切断等作業については昭和49年1月1日~平成16年9月30日まで、屋外での石綿切断等作業については平成14年1月1日~平成16年9月30日まで、国が防じんマスクの着用・集じん機付電動工具の使用・警告表示の義務づけを怠ったことの違法性を認めた。同種訴訟の判決で国の責任が認められるのはこれで9回連続である。しかも昨年10月27日及び本年3月14日の東京高裁判決に続いて、大阪高裁でも国の責任が断罪されたことにより、国責任に関する司法判断は完全に確立したといえる。また控訴審でも再び屋外作業者に対する国の責任が認められたことは、屋外の危険性を否定する国の誤りを明確に断罪するものである。
本判決は,本年3月14日の東京高裁判決に続いて、いわゆる一人親方について,国賠法上の保護範囲に含まれるとして救済を認めた。これは建築労働者と等しく現場で働き,等しく被害を受けた一人親方の就労実態に真摯に向き合った判断であり高く評価できる。

3.本判決は、1審判決同様、主要なアスベスト建材企業である被告A&AMや被告ニチアス、被告ノザワなど10社について、被害者22名との関係で共同不法行為責任を認めた。特に、本判決が新たに被告クボタ、被告日本バルカーの責任を認めて企業の責任に関する判断を拡大した点は評価できる。
昨年10月27日の東京高裁判決に続き、高裁レベルで企業責任を認めた判決は2例目となる。石綿の危険性を知りながら利益のために製造・販売を続けた企業の責任を認める司法判断の大きな流れを作ったことは高く評価できる。

4.被害者らの「命あるうちに救済を」との願いは切実である。国及び建材企業は、本判決を真摯に受け止め、徒に上告などせず、1審原告らに謝罪し速やかに賠償責任を果たすべきである。そして全ての被害者が早期に救済されるよう、「建設作業従事者にかかる石綿被害者補償基金制度(仮称)」を創設すべきである。また、国と企業は、建設現場での石綿被害を将来にわたって防止するために万全の対策を行うべきである。
私達は、石綿被害者の完全救済と被害根絶のため、全国の被害者、支援者、および市民と連帯し
て、今後も奮闘する決意である。
以上

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